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薔薇の女王・小話


くだらないことは、請合います。
読後については責任を持ちませんので、あしからず!




「トリオ結成秘話」編

「ねぇ、ローズ。何がしたい? 何でも言ってごらんよ」
 青い瞳が私を甘やかす。
「私のしたいことは……とりあえず、三人の漫才トリオでお笑い界の頂点を目指したいわ!」
 感情のままに口にして驚かれるかと思ったけど、
「……えっ」
 案の定、ブランシュは驚いたように目を瞬かせた。
 ヴェールは、何? かわいそうな子を見るようなその目は。
 ムッと唇を尖らせる私に、ブランシュがとりなすように問いかけてきた。
「一つ聞いていいかな、ローズ。なぜ、お笑いなんだい?」
 あら、心なし、金髪王子の頬が引きつっているように見えるのは、気のせいかしら?
 ちょっと気になったけれど、私はかねてから心に秘めていた決意を口にした。
「知ってる? 笑いって、病気の人の回復を早めたりするのよ。だったら私は、笑いで人を癒したいわ。助けたいわ」
「それは崇高な志だね」
「でしょう? というわけで、ヴェール、あんたはボケ担当ね!」
「…………ボケはローズだろ」



「突っ込みの極意」編

 素振りの練習をしていた私の前に、二人の騎士たちが現れた。ちょうど良いところに来たわねと、瞳を煌めかせる私に、ブランシュが首を傾げる。
「やあ、ローズ。手を振り回して、どうしたんだい? 虫でもいるのかな?」
「突っ込みの練習をしているの。やっぱり、平手で後頭部を叩く際には、手首のスナップが重要だと思うのよ」
「……そう」
「――というわけで」
 ひらりと泳がせた手のひらをヴェールの後頭部へ叩きつけようとした瞬間、手首をつかまれ、止められた。くっ! まだ腕の振りが甘いようだわ!
「待て、ローズ! 何でいきなり、殴りかかって来るんだ」
 ヴェールが目を瞬かせて、問いかけてくる。
「ボケが突っ込みを止めてどうするのよ。ちゃんと、受けなさいよ!」
「そんな殺気だった突っ込みがあるか!」
「私はあんたのセクハラを許したわけじゃないの。その殺意を突っ込みへのパワーに変えただけよ。この燃えたぎる怒りが、私たちをお笑い界の頂点へ導くんだから、ヴェール、観念して制裁を受けなさい」
「思いっきり、私怨じゃねえか。っていうか、殺意を否定しねぇのかっ?」



「過剰演出」編

「ローズ、頼まれていたものを持ってきたよ」
 金髪王子は私のおねだりを快く聞いてくれた。
 ブランシュとヴェールは抱えた荷物をいそいそと、机の上に積み上げる。
 山積みにされたそれらに、私はニッコリと笑う。
「ところで、ローズ。このスリッパは、何に使うの」
「もちろん突っ込みの道具よ。この紙はハリセンを作るつもりなの。でも、いまいちインパクトが足りないような気がして、色々集めてみたの」
「……この鉄製のハンマーも?」
「もちろん! それで、ヴェールの頭に突っ込むのよ」
「――俺を殺す気かっ!」



「無理な相談」編

「ヴェール、何度、言ったらわかるのっ?」
 私は空振りに終わった突っ込みに肩を怒らせて、ヴェールを睨む。
「ボケが突っ込まれなかったら、お笑いにならないわ」
「そんな殺気と凶器を黙って受け入れられるか」
 心なし、顔を引きつらせながらヴェールが反論してくる。
「くっ、なら……ハンマーは止めてハリセンにするわ。それなら問題ないわよね?」
「殺気も失くせ」
「それは無理!」
「……無理なんだ」
「無理なのか?」



「自己紹介」編

「真姫よ」
「違うだろ、自分の名前を間違えるなよ、ローズ」
「何よ、こんな女はローズじゃねぇなんて、言っていた奴は。
ヴェール、アンタじゃなかった? まあ、確かに、今の私の名前は真姫じゃないわね。
改めて、自己紹介するわね。私はローズ・エトワール・ルージュ。愛称はときどき、「薔薇姫」と呼ばれるわね。
ついでだから、二人のことも私が紹介してあげる。
こっちの金髪美形はブランシュ・ソレイユ・ブレゥー。「太陽」の騎士よ。通称はそのまま、「金髪王子」我ながらぴったりな、ネーミングだと思うわ」
「ブランシュは王子だったのか?」
「ヴェール、僕の出生を知っていて、真顔で問わないでくれるかい?」
「ちなみに、こっちの頭が足りてなさそうに見える、それでも美形だから、何となく腹が立つわよね。
って、話を元に戻して、黒髪の美形が「月」の騎士のヴェール・リュンヌ・ノワール。通称「セクハラ魔王」」
「セクハラは余計だ」
「補足しておけば、我らが「薔薇姫」も星界一の美姫だよ」
「――になる予定よ……。なれたらと思うけどね……、予定は未定よ」
「未来が楽しみだね」
「……ええっと、話を元に戻すわね。性別と年齢を教えるのね? 
私は、女。本当は18歳(1年前までは)だったらしいけれど、若返って16歳。ピッチピッチの女子高生よ」
「前から聞きたかったけど、ジョシコーセーって何だ?」
「可愛い女の子っていう、日本語よ」
「……違うだろ? 違うよな? ブランシュ」
「僕もヴェールも男だよ。僕は20歳、ヴェールは17歳だね」
「鮮やかにスルーしたわね、ブランシュ」



「手作り?」編

「暦にあるフェヴリエの十四日って、地球で言うところの二月十四日――バレンタインデーね。多分、バレンタインデーの習慣はこっちにはないわよね」
「地球のバレンタインがどういうものかは知っているけれど、宗教観が違うからね。こちらには風習として根付いていないけれど。それがどうかしたの?」
「折角のバレンタインだから、チョコレートを手作りしようかと思って。勿論、ブランシュやヴェールもチョコ、食べるわよね?」
「――手作りを貰えるの?」
「勿論よ。ねぇ、何が食べたい? フォンダンショコラ、ガトーショコラ、チョコチップクッキー、トリュフチョコ、チョコマフィン、チョコレートケーキにチョコレートムース。色々あるわよ」
「へえ、ローズはお菓子作りが得意なんだ?」
「ううん、私じゃなくってお母さんが得意よ!」
「……誰が手作りするって?」
「お母さん!」



「チョコレート争奪戦」編

「アメティスト、陛下がバレンタインデーにチョコレートを作られるという話を小耳にはさんだが、本当か?」
「ああ……(正確には、姉さんが)、そうらしいですね」
「勿論、慈悲深い陛下のことだ、我ら騎士にもお恵みを与えてくださるんだろうな」
「当たり前だ! 陛下が我らのことを忘れるはずがないではないか」
「そうだな。陛下に限って、我らを忘れるはずはない」
「これだけ陛下をお慕いしている我ら以外に、誰にチョコをくれてやるというのだ!」
「陛下の愛は、我らが騎士のものぞ!」
「他の誰にもくれてやるものか!」
「………………(確か、姉さんから聞いた話じゃ。バレンタインデー用のチョコって、団長たちとディアマン様の三つだけじゃなかったか?)」



「教祖様」編

「ブランシュ、一つ聞きたいんだけど。騎士団の皆って、いつもあんな感じなの?」
「いつもって?」
「私、あの人たちの前に立つと、何だか自分がアヤシイ宗教の『教祖』様にでもなったような、気がしてくるのよ」
「……言い得て妙だね」
「納得するのっ?」



「間違った解釈」編 (「暗黙の了解」読了後推奨)

「「生足同盟」の一件、ブランシュ団長は陛下に内密にされたらしい」
「何? それはつまり……」
「バレなければ、活動して良いということかっ!」
「(違うだろ?)」



「話を聞け!」編 (「暗黙の了解」読了後推奨)

「どうやら君たちには、ちゃんと話を通しておかないと間違った方向に解釈してくれるみたいだから、ハッキリ言うよ。僕が「生足同盟」をローズの耳に入れまいとしたのは、他でもない。十六の女の子が異性から人格をもてはやされるのならともかくも、「太もも」を注視されているなんて知ったら、傷つくだろうからね。勿論、それはローズも例外ではないだろうから、くれぐれも「生足同盟」の復活などとは考えず、先のこともローズの耳には……」
「何て事だっ! 我らが陛下の美脚への称賛が、陛下の乙女心を傷つけるなんてっ、考えも及ばなかった!」
「くっ! 己の足らぬ配慮に絶望しそうだっ!」
「ああっ……陛下っ! 我は陛下に土下座して詫びねば気が済まぬっ!」

「…………だから、ローズの耳には入れないようにと」

「どうか、浅慮な我らをお許しください、陛下っ!」
「こんなところで謝罪したところで、陛下に届くまい。やはり、御前にて誠心誠意、謝罪すれば」
「寛大な陛下のこと、我らの過ちをお許し頂けるかも知れぬ」
「陛下はどこぞ? 陛下っ! 陛下っ!」

「――ヴェール。ローズのもとに辿り着く前に、彼らの息の根を止めてあげることにしようか」



「リサーチ・1」編

「ブランシュ、お願いがあるんだけど、聞いてくれる?」
「どうしたんだい、ローズ。僕にできることなら、何でもするよ」
「あのね、地球の暦を当てはめていくと、もうすぐ母の日なの。グリシーヌに感謝を込めて、何か贈り物をしたいから、こっそりグリシーヌが欲しそうなものを聞き出してくれない?」
「僕でいいの? アメティストの方が身近だから、彼の方が適任な気がするけれど」
「聞いたわ。そしたら、「ぬかどこ」って言うのよ。いくら、グリシーヌが料理好きでも、「ぬかどこ」はないわよ。そう思わない?」
「そうだね。ディアマンはどうかな? 彼なら、グリシーヌと付き合いが長いから、心当たりあるんじゃないかな」
「お父さんにも聞いたわ。すると「梅の実」なんて言うのよ。「梅の花」ならともかく、どうして「梅の実」なの?」
「……謎だね」
「よくわからないから、ブランシュに頼むの。お願いね?」
「わかったよ、ローズ。期待に添えるよう、がんばってみよう」



「リサーチ・2」編

「やあ、グリシーヌ。君にはいつも世話を掛けているね。君の働きに感謝しているから、何かしら報奨をと考えているんだけど、長い休暇とか、どうだろう」
「まあ、ブランシュ様。労いのお言葉、ありがとうございます。ですが私は、ローズ様のお傍にお仕えできる今が大変充実していて、満足しています。ですから、休暇など頂いても、困ってしまいますわ」
「だろうね。では何か、欲しいものはないかい?」
「欲しいものですか?」
「そう。例えば、ドレスとか、宝石など」
「まあ、そのようなものは私には無用の長物です。私にはエプロン一つあれば十分ですわ」
「謙虚だね。それは君の美徳だと思うよ。けれど、何かしら贈らせて欲しい」
「そうですか。少しわがままを言ってもよろしいのでしたら、欲しいものはあるのですけれど」
「何だい? 手配できるものなら、手配するよ」
「では、お漬物を作るのに「ぬかどこ」が欲しいのです。さすがにこちらでは手に入りませんから、「ぬかどこ」を地球から取り寄せていただけますと、嬉しいですわ」
「……「ぬかどこ」?」
「はい。やはり和食にお新香はつきものですから、できれば「梅の実」も欲しいですわ。「梅干し」を作りたいので」
「……へえ。手作りするんだ?」
「ええ、ローズ様は私が漬けたお漬物が一番おいしいと言ってくださいますの。ですから、こちらでもローズ様のためにお漬物をつけたいのです」
「拳を握っての力説、ありがとう。……うん、君の欲しいものが何となく、わかった気がするよ(要するに、ローズが喜んでくれるものなんだね)」
「ご理解頂いて嬉しいですわ」
「ちなみに、他に欲しいものはないかな? この際だから、取り寄せられるものは取り寄せよう」
「それでしたら、ローズ様のお夜食に作るおにぎりの具材に「辛子明太子」に「鰹節」、「お味噌」「鮭」なども欲しいですわ。ああ、「焼き海苔」もあると嬉しく思います。ローズ様はパリパリに焼いた海苔を巻いて、おにぎりを食べるのがお好きですから」
「………………(どこまでも、ローズなんだね)」



「結論」編

「それで、ブランシュ。グリシーヌの欲しいもの、聞き出せた?」
「…………あー、まあ。その……聞き出せたといえば、聞き出せたかな」
「何々? お母さん、何が欲しいって」
「えーと、「辛子明太子」?」
「何それ」
「…………グリシーヌはどこまでもグリシーヌってことだよ。彼女が欲しいものをあげるより、ローズがグリシーヌに贈ってあげたいものを贈るのが一番だよ」
「それで悩んでいるから、相談したのに」
「そうだね。とりあえず、ドレスや宝石よりは、エプロンを贈ってあげると喜ぶと思うよ」



「話を聞け!・2」編

「何だと、アメティスト。陛下が王宮でハロウィンパーティーを開かれるとっ?」
「ええ、孤児院の子供たちを呼ぶので、仮装した皆にお菓子を――」

「何とっ! 陛下自ら、我らに菓子を食べさせてくださると言うのか?」
「はい?」

「それはいわゆる、お口を空けて、「あ〜ん」と言う奴か!」
「……へっ?」

「何と素晴らしいっ! 陛下のお手から……菓子を食べさせて貰えるとは」
「お主、涎が出ておるぞ!」
「何を冷静に人に突っ込んでいるのだっ? 貴公は陛下からお菓子を貰えずともよいと言うのかっ!」
「誰もそんなことは言っておらん! 問題は、陛下の目にとまるほどの仮装が出来ての話であろうと言うことだ」
「うむ?」
「この大人数を陛下が一人一人、お相手してくださるには時間が足りぬであろう」
「確かに」
「ということは、陛下の目にとまったもの勝ちということだ。今ここで、夢想している場合ではない」
「つまり、陛下の「あ〜ん」を頂戴するには、他の誰よりも目立たねばならんということかっ?」
「こうしてはおれん! 急いで、仮装の用意をせねば!」
「我も! ふははははっ! 皆の度肝を抜く仮装をして見せようぞ」
「くそっ! 陛下の「あ〜ん」は我のものぞ! 負けるかっ!」


「……あの、いや、だから……。「仮装した子供たちに配るお菓子を用意しておいて」と……ローズからの伝言。…………さ、最後まで、人の話を聞いてくれ……」


「豆まき」編

「今日は節分ね。詳しい説明は省くとして、ヴェール、あんたが鬼ね」
「待て、ローズ。何で俺が鬼で、豆を投げ付けられなきゃならないんだっ?」
「じゃあ聞くけれど、ヴェールはブランシュに豆を投げつけられるというの?」
「……えっ? あ、……えーと」
「あの爽やか笑顔に豆を投げるなんて、無理でしょう? 何というか、自分が間違っているような気がしてくるのよね」
「じゃあ、ローズが鬼になれば……」
「へー、そう。ヴェール、あんたは私に豆を投げるのね?」
「僕には無理だな。ローズの可愛い顔に豆を投げるなんて。ヴェールは平気なの? ローズに嫌われても構わないのかい?」
「うっ……」
「というわけで、やっぱりヴェール、あんたが鬼ね!」
「――ブランシュもローズも、俺には豆を投げるのは抵抗ないのかっ?」
「ないわよ。だって、ヴェールのことだもの。豆を一粒残さず空中キャッチして、食べちゃうんでしょ? これって豆まきというより、餌まきよね」
「違うだろっ!」



「お願いごと」編

「日本では、今日は七夕で、短冊にお星さまへのお願い事を書くの。ヴェール、あんたの代わりに私が日本語でちゃんとお願い事をしておいたから、安心してね」
「へぇ、なんて書いたのか見せて貰っていいかな、ローズ」
「ブランシュは日本語も読めちゃうのね。別に構わないわよ。ね、いかにもヴェールがお願い事しそうなことでしょ?」
「……ええっと……『お腹一杯、ご飯が食べたい』?」
「何だ、その願い事はっ! 俺の頭は食いものしかないみたいじゃねぇかっ!」
「違うっていうの? じゃあ、願い事を言ってごらんなさいよ。書き直すから」
「俺の願い事は…………願いごと…………願いごと?」
「ホラ、ご飯食べる以外に、何もないじゃない!」
「ち、違っ!」
「…………(まあ、ヴェールの場合、ローズが傍にいる以上のことを望むほど、欲張りじゃないからね)」



「仮装」編

「今年のハロウィンは皆で仮装して、盛り上がるのもいいんじゃないかと思うんだけど、どうかしら?」
「いいと思うよ。子供たちも喜ぶだろうしね」
「仮装って、どういうのがあるんだ?」
「吸血鬼、悪魔、天使に魔女、ミイラ男や狼男なんかが代表的じゃないかしら。――というわけで、ヴェール、あんたは犬ねっ!」
「狼じゃないのかよっ?」



「おねだり」編

「これをホワイトデーに、ローズに贈るんですか? ……でも、あの、地球のホワイトデーはバレンタインデーのお返しの日では(……確か、騎士団の誰一人も、ローズからチョコなんて貰ってないはず)」
「だからこそだ、アメティストよ!」
「あの?」
「我らは陛下からお心を頂いたということで、お返しをすれば、来年こそ、陛下も我らにチョコをお恵みくださると思わないかっ?」
「…………(ようするに遠回しの、催促か?)」



「二月十五日の朝」編

「……あの、そうまでして、ローズからチョコが欲しかったんですか?」
「アメティスト、貴様にはわからんだろうな。徹夜で陛下からのチョコを待ち続けた我らの心境など。……あの日の朝は、夜明けが涙で霞んで見えたな」
「…………そ、そうですか(罪作りだな、ローズ)」



「正しい夏の過ごし方」編

「こっちの世界って、エアコンとかないわけじゃない? 夏とか、皆は暑くないのかしら?」
「ああ、こちらには魔法があるからね」
「えっ? 魔法って、ブランシュたちは白鳳や黒狼に団扇を扇がせるのっ?」
「…………それ、どんな魔法の使い方だよ」



「バレンタイン前夜」編

「地球文化が浸透して、今年のバレンタインは王宮でもチョコを贈るのが流行りそうだな」
「そうね、でも大丈夫よ、アメティスト。あなたには姉さんがちゃんと作ってあげるから」
「……う、うん。(姉さんの中で、オレはチョコが貰えない可哀想な奴んだな……)」



「生足同盟勧誘」編

「アメティスト、お前も男ならわかるだろう! 陛下のおみ足に踏まれたいという、切実な男心がっ!」
「…………わ、わかりたくないです」



「企む団長」編

「ブランシュ団長、一つ質問してもいいですか?」
「何だい、アメティスト。珍しいね」
「あの、騎士団の騎士たちは……実力もあると思うんですが、最終的には団長たちが選ばれたんですよね? ……オレも人のことは言えませんが、本当にあの人たちでいいんですか?」
「ああ、彼らはいずれ――おっと、この先は秘密だから。悪いけど、アメティスト。君も今聞いたことは口外しないようにね。じゃあ」
「……いずれ、いずれって?」


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