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54,略して美女コン


「わー、わー、わー」
 ルーはフラリスの街の街路に並んだ屋台に歓声を上げた。新年祭のときも賑やかだったが、今度の収穫祭はさらに賑わいを増している。
 中央広場には舞台が組まれ、鮮やかに飾られていた。また、喉自慢大会でもあるのかな? と、ルーは考えつつ、甘い匂いに誘われて屋台へと足を向けようとしたところで、襟首を捕まえられる。
「何でそう、君は落ち着きがないのですか?」
 レイテは人ごみの波にさらわれそうになる弟子を慌てて、自分の元へと引き寄せた。
「先生、あのお菓子買ってください」
「…………人の話を聞きなさいね」
 ため息を吐いて、レイテは屋台に背を向ける。
「あー、お菓子〜」
「後にしなさい。まずはグレースさんのところに行ってからです」
 レイテは自警団事務所へと足を向けた。
 

 先日、グレースはレイテの城に食事をたかりに来て──グレースに移動魔法を習得させてしまったのは、明らかに失敗だったと、レイテは後悔することになったわけだが──週末から街で収穫祭があると言った。
 収穫祭は新年祭と違って、日程が決まっていない。レイテはまだまだ先のことかと思っていたので、少し驚いた。
「あー、街じゃ生贄事件があったでしょう。ライラのこともあって、沈んでいるからここはパァと盛り上げようっていうのが、街の活性化委員の言い分スよ。まあ、うちの街の住人って、結構お祭り好きスッからね。今回は三日も日程組んでいるスよ」
「三日ですか?」
 レイテは急ごしらえで用意した料理をテーブルに並べながら、首を傾げた。今まで、二度ほど収穫祭を覗いたが、祭り自体は一日だったと記憶している。
「そう、三日。もう街の中央広場には特設ステージを作って、イベントづくしスよ。若様も嬢さんも遊びに来てくださいスッ」
「……そうですね」
 顎に指を当てて考え込むレイテの横で、ルーが手を上げた。
「行く行く、勿論。ねぇ、先生」
「……まだ、行くとは一言も……」
「行きましょう、先生。絶対、絶対、楽しいんだから」
「そうスよ、若様。楽しいスよ。二日目のステージでは俺の勇姿をご堪能あれって感じでス」
「何をするのですか?」
「午前の部に行われる早食い大会に出場して、午後の部は大食い大会に出るスッ」
「……あなたらしいですね」
 レイテは大量のパスタを瞬く間に平らげてしまったグレースに呆れた。
「絶対優勝する自信があるスッ。もう、オレのためって感じスよね。優勝商品も金貨三枚の賞金とは別に、今回は各イベントにスポンサーがついて、豪華スよ。早食いはノルディのパン屋の食パン一年分ス。毎朝、食パンを配達してくれるっていうスから、これは絶対に負けられないスッよ」
「……大食い大会は?」
「ジークのレストランの豪華ディナーご招待券スよ。あそこは値段が高くて、オレも入ったことないスッよ。それで狙っているス。評判じゃ、かなり味がいいって」
「……はあ」
「三日目に行われる喉自慢大会はミーナの家の雑貨屋が商品を提供することになっているスよ。ええっと、何だったかな? 食いもんでなかったことだけは確かスッが……まあ、オレは出ないから関係ないスッね」
 首を捻るグレースは優勝商品が食べ物でないと、途端にやる気を失くす傾向にあるようだ。
 まあ、とにかく楽しいから来い、と言うグレースに、レイテはそれでは伺いますよ、と返した。
 そして、今日に至る。自警団事務所を訪れたレイテとルーは、グレースに導かれて再び中央広場に戻ってきた。
「喉自慢大会か〜。俺も出てみようかな」
 ルーはグレースから貰った祭りのパンフレットを覗き込みながら呟いた。それを耳ざとく聞きつけたレイテは、
「……止めなさい」
 額を押さえて言った。ルーがまともに歌える歌は、ギャビン青年の百年の恋も冷ましてしまう歌だけだ。
 あの歌を聴くとルーの酒乱による醜態を思い出し、レイテは背筋が寒くなる。
「うー」
「ああ、嬢さんにピッタリのイベントあるスッよ」
 不満そうに顔を歪めたルーに、グレースがポンと手を叩いた。
「本当? どんな?」
「今日の午後のイベントで、略して美女コン、スッ」
「…………あの、何を略しているのですか?」
「えっと、美女に見えるかコンテスト、スッね」
「何だか、意味不明なのですけれど。要するに、美女であるかを決めるコンテストなのですね? グレースさん、あなたの審美眼は曇っていませんか? ルーは美人だとは思いませんが」
「ヒドイ、先生っ! 俺だって、可愛い服を着たら女の子に見えるよ」
「見える見えない以前に、君は正真正銘の女の子ではありませんか。第一に、君はそうですね、どちらかと言えば可愛いという容貌で、美女というのとは、またニュアンスが違ってくるでしょう? 僕が言いたいのは、そこです。誰も可愛くないとは言っていませんよ」
「えー、俺、可愛い?」
 レイテに可愛いと褒められたルーは、照れたように赤毛頭を掻いた。
「ええ、可愛いいですよ。口さえ開かなければ」
「…………」
「もう一つ。動かなければ」
 レイテは容赦なく言った。
「ヒ、ヒドイ……」
「ヒドイと思うなら、是非ともコンテストに優勝して、女の子らしさを証明してみたらどうですか。そのときは、僕の非を認め、謝りますよ。でも、賭けてもいい。君が優勝することなど、ありえません」
 先の女の子修行の際、ルーには今のままでも良いと言ったが、やはり多少は女性らしくなって欲しいと思う気持ちはある。
 この機会にルーに女の子としての自覚を促したいレイテは、意図的にルーを突き放す。
 少女はなけなしの自尊心を刺激され、眉を跳ね上げた。
「そんなことないです。俺だって、おしとやかにすれば、女の子みたいになれるんだから。もう、先生がそこまで言うのなら、俺、絶対優勝してやる!」
「できるものなら、やってみなさい」
「優勝したら、俺のお願い聞いてくださいね」
「いいですよ。一つ、君の望みを聞いてあげます」
「じゃあ、今度、お酒を買ってください。また飲みたいです」
「…………」
 一瞬、全てはなかったことに、とレイテは言いかけた。しかし、万が一にも、ルーが略して美女コンに優勝するとは思えない。迷いを捨てて、彼は頷いた。
「いいでしょう。約束しましょう」
「わ、若様っ……駄目スッ。その約束は駄目スッよ!」
 後ろで二人のやり取りを見守っていたグレースが突如、血相を変えた。
「何です?」
「絶対、嬢さんが優勝するスッよ。だって、美女コンに出場するの、男ばっかなんスから」
「何故っ!」
「だから言ったじゃないスッか、美女に見えるかコンテストって」
「…………あの、もしかして」
「正式タイトルは、男女問わず、誰が一番美女に見えるかコンテスト、スッ」
「略しすぎですっ!」
 悲鳴を上げたレイテの脳裏に浮かんだのは、生贄事件の折、自警団の団員たちが女装した姿だった。彼らと比べれば、ルーは本物の女の子だ。顔立ちもそう悪くない。これはもしかしたら、もしかするのではないか?
「女性は出ないのですか? ミーナさんは?」
「元々は街一番の美人を決めようって趣旨だったスよ。でも、生贄事件があって、それで女性陣は出るのを渋ったスッよ。でも、祭りに華がないと駄目だって、活性化委員が苦肉の策に出たってわけスッよ」
「一人も出ないのですか、女性方は……」
「出ないスッよ。……だから、嬢さんでも優勝できると思って薦めたスッよ。優勝商品は菓子店アマーダの特製三段ケーキだったから、喜ぶと思って……オレはさすがに、優勝狙えませんし」
「ケーキっ!」
 レイテとグレースが、ひそひそと言葉を交わすのをじっと聞き耳をたてていたルーは突如、雄叫びを上げた。
「ケーキだっ! ケーキだっ! 本物のケーキだっ!」
 両手を掲げ踊りだすルーを、屋台を冷やかしている祭り客が珍妙な眼差しで遠まわしに眺めていた。
「…………グレースさん、あの子が本当に優勝できると思いますか?」
「うっ、いや……でも、嬢さんの場合、それらしい格好をすればホント、女の子に見えるスッよね」
「……美しいですか? あの姿を見て、美しいと言えますか?」
 詰め寄るレイテの形相が怖かったのか、否か。グレースは明後日の方向に視線を逸らした。
「……ルー、先程の約束ですが……」
 なかったことにしませんか? と振り返った先、少女の姿は消えていた。
 どこへ行った? と探せば、中央広場に組み上げられた舞台の脇に赤毛頭を見つけた。
 慌てて、レイテとグレースがそちらに向かうと、そこは略して美女コンの出場受付場のようだ。座席に着いた青年がルーに名前を聞いて、それを手元の用紙に書きこんでいた。
「ルビィ・ブラッドちゃんね。はい、オッケーだよ。衣装はそのまま? 一応、舞台裏に控え室があって、幾つか服を用意しているし、化粧品なんかも揃えているからね。それを使ってもいいよ」
「はーい」
 ルーはレイテたちに気付かずに、舞台裏へと駆け込んでいった。やる気も満々のようだ。
「くっ、こうなったら仕方ありません。グレースさん、僕らも出ましょう」
「…………何で、オレっ!」
 グレースはレイテに腕をつかまれて、目を剥いた。


 水色の瞳がナイフの刃のような鋭さをで、問いかけてくる。
「あなたは、僕一人に恥をかかせる気ですか?」
「若様の場合、恥にはならんでしょ!」
「グレースさん、人前に嬉々として女装して出るほど、僕は恥知らずじゃありません」
(嘘だっ! 嘘スッ! 生贄事件のとき、魔法で誤魔化せるのに、わざわざ女装していたじゃないかっ!)
 グレースはレイテが自分に対して、嫌がらせをしているのだと気付く。
(嬢さんに……美女コンのことを教えたから……)
 頬を引きつらせるグレースを余所に、レイテは出場受付を済ませると、グレースの巨体を引きずり、控え室へと向かった。


 中にいた係員に、ルーはドレスと化粧品一式を借りた。使い方はわからないけれど、とりあえず顔に塗れば大丈夫だろう。そして、設置された化粧台に向かいかけたルーは控え室に入ってきたレイテとグレースに声を上げた。この控え室に入れるのは参加者だけだ。
 つまり……。
「先生も出るのっ?」
 レイテが出場するなら、ルーの優勝は程遠い。
「ズルイです。何で、出るの? 俺にそんなにケーキを食べさせたくないんですか?」
(ケーキではなく、お酒を飲ませたくないのですよ)
 そうレイテは心に思うが、口にはできない。ルーの酒乱を口にしようものなら、少女は酒に手を伸ばし酒乱ではないのだと証明しようとするだろう。その後に訪れる惨劇を考えれば、レイテとしては恐ろしくて何も喋れなくなってしまう。
「先生は意地悪だっ! 何で、俺に優勝させてくれないんですか?」
「ルー、絶対的な勝利なんて虚しいでしょう。試練を超えて、勝ち得てこその栄冠でなければ、君が女の子らしいと証明するものにはなりえません」
「だけど……」
「それにね、僕が優勝するとは限らないでしょう?」
「先生より綺麗な人なんて、いないじゃないですか!」
(当然です)
 心の中では頷きながら、レイテは謙遜する。
「いやいや、そんなことはありませんよ。世の中には僕より綺麗なものは沢山あります」
「ホントですか?」
「ええ、それはもう……」
 何か例えを上げようとしたレイテに野太い声が飛んできた。
「まあまあ、レイ様」
 振り返ったレイテの視線の先には、ポッチャリと──あえて、そういう表現を使ってみる。本当は酒樽のような──太った女性が、ノシノシとやって来る。
 レイという名は、フラリスの街で本名を名乗れないレイテの通り名だ。
「この度は私の企画に参加してくださいまして、ありがとうございます」
 その女性は目を白黒させるレイテに構わず、彼の手を取るともう凄い握力でブンブンと振り回す。
「──っ?」
「若様、こっちは菓子店アマーダの店主のハハロアさんスッよ」
「ああ、それは……どうも」
 レイテは、ようやく解放された手を撫でて──強い力で握られたために血が通わずに、痺れてしまった──ハハロアに視線を返し絶句した。
 仮にも飲食物を扱う店の主がそんなに厚化粧で良いのか? というくらいの、容貌だった。
 まぶたの上に塗られたブルーのアイシャドウ。目元にひかれたアイラインは黒く、目を引き立たせすぎて怖い。白塗りされた肌は明らかに、首もとの地肌とは違っており、頬は真っ赤なチークでリンゴのように色づけられている。唇は誰かの生き血を吸ってきたのかと思うほどに赤く、しかも本来の唇と呼べる場所ではないところにまで紅がひかれている。
 化粧お化け、レイテはハハロアに対してそう命名付けた。
「レイ様のようなお美しい方に参加して頂けるなど、光栄ですわ」
 ホホホ、と高笑いする化粧お化け……もとい、ハハロアにレイテは愛想笑いを返す。
「そんな、僕など。ハハロアさんのお美しさに比べましたら、足元にも及びませんよ」
 明らかにお世辞丸出しの言葉に、ハハロアは「いやですわ〜」とまんざらでもなさそうだった。
(オイオイ……)
 レイテは心の中で、ハハロアに突っ込んだ。
 ルーはハハロアの容貌の奇怪さに驚いているのか、ジッと彼女を見上げたまま立ちすくんでいる様子だった。
「参加者の皆さん、そろそろ準備をお願いします」
 係員の声にレイテは「ああ」と声を上げた。
「それでは、ハハロアさん。僕らは準備がありますので、ここで失礼します」
 レイテは一礼して、化粧お化けから距離を取る。先程から、化粧品の匂いが強烈で、少しばかり気分が悪い。
(何でこんなことに……)
 レイテは頭痛がしてきた額を押さえ、ため息を吐いた。
「あの方が、グレースさんの初恋の相手ですか」
「いや、昔は痩せていたスッよ」
 こうして、強烈な化粧お化けを前にしたレイテは、ルーの存在を頭から忘れてしまった。


「次は我らが街の自警団若頭っ! グレースさんですっ! どうぞっ!」
 略して美女コンを取り仕切る司会者の声にグレースは覚悟を決めて、舞台へと躍り出た。瞬間、中央広場に集まった何百という観客が一斉に笑い出す。
(だから、嫌だったんだっ!)
 グレースはやけくそで舞台を一周する。太ももまで入ったスリットから──スカートの腰周りがピチピチだったために、歩いた瞬間に破れてできた──覗くのはすね毛の生えた太い足。やはり、服は小さく、胸元は平のままで、上着の裾からはヘソが見える。
 使い方もわからずに施した化粧は白塗りお化けで、女装というより仮装に近い。
「続きましては……」
 グレースは他の出場者と一緒に舞台の奥に並んだ。
「我らが麗しの若様っ! レイ様の登場ですっ! どうぞっ!」
 レイテの登場に今まで大爆笑だった会場は一気に静まり返った。そして、端々からこぼれるのは感嘆の吐息。
 男女問わず、そこに現れた麗人に息を呑み、堪えきれなくなった呼吸をため息にして吐き出した。
 長髪の金髪のカツラを被り、シンプルな純白のワンピースに胸元にちょっと詰め物をしただけ。化粧すらしていないのに、レイテの美しさは会場の客全てを魅了する。
(これで、僕の優勝は決まりですね。……後はルーだけですが)
 そういえば、ルーはどんな衣装を選んだのだろう?
 化粧お化けに出会ったことで、ルーのことを完全に忘れてしまったレイテは、少女が控え室の片隅で化粧にいそしんでいたことにも気付いていなかった。
 呼び出されるままに、舞台に上がってきたので、ルーの変身振りも確認してはいない。
(まあ、僕より綺麗に化けることなどできないから)
 とりあえず、ルーにだけは優勝させなければよい。
 舞台を一周したレイテはグレースの横に並んで、ルーの登場を待つ。
「ラストを飾りますのは、若様の弟子である赤毛のルビィちゃんですっ! どうぞっ!」
 司会者の掛け声に、舞台に踊り出てきたその姿にレイテをはじめ、観客全てが目を疑った。
 そこにあるのは酒樽……いや、酒樽のように着膨れした人影だった。
「なっ!」
 衣装の上に衣装を重ね、さらに衣装を──といった感じで、おおよそ十着以上は重ね着しているだろうその姿はまさに酒樽だった。おぼつかない足取りで歩く、酒樽はやがて見事なまでに転んだ。ごろりと横に回転して、舞台の端から転げ落ちそうになる少女をレイテとグレースがギリギリで止めた。
 どよめく観客たちは二人の機敏な動きに、拍手を送る。そして、彼らの手によって起こされた少女の化粧お化けと化した顔を目に止め、一瞬の沈黙の後、大爆笑がフラリスの街に響き渡った。


「だって、先生があのオバサンのことを自分よりも綺麗だって言ったから……」
「あれは社交辞令ですよ」
 ため息を吐いて、レイテはルーの厚化粧を落とす。
 ルーは、レイテがハハロアに向けたお世辞を本気にして、厚化粧すればレイテより綺麗になると信じた。
 何しろ、自分の美貌を一番と信じているレイテが自らの口で、ハハロアを褒め称えたのだ。ルーには、どう見てもハハロアよりレイテのほうが綺麗に見えたのだが、少女にとっての常識は全てにおいてレイテに集約されている。
 もしかしたら、ハハロアのような容貌の主を、世間では本当の美女というのかもしれないと……ルーは誤解もはなはだしく、ハハロアの体格を真似るべく服を着重ね、化粧に精を出した結果、見事に笑いものとなった。
「世の中にはね、本音と建前を使い分けなければならない場面もあります。そのときは、心にもないことを言ってしまうのが、人間の悲しいサガですね。でなければ、僕の美意識が化粧お化けを美しいと認めるものですか。確かに化粧は女性を美しく見せてくれますが、過剰な化粧は醜いだけです」
 と、レイテは化粧落しのクリームをルーの顔に塗りたくる。
「全く、素顔を見せていればそれなりに可愛いものを……」
 そうぼやくレイテにグレースが青い顔で言った。
「……わ、若様、後ろ」
「何です?」
 面倒臭げに振り返ったレイテは、そこに本物の化粧お化けを見つけることとなる。
 この後、レイテは優勝した賞金で菓子店アマーダの売り上げに貢献することとなり、ルーは略して美女コンに優勝はできなかったが、食卓に並ぶ山のようなケーキに顔をほころばせる日々が続いた。
 今回のことで一番得にもならず散々だったのは、パトロールの際に後ろ指を差されては笑われる羽目になった、自警団の団長グレースだったのかもしれない。

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